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労働保険の年度更新をお忘れなく

平成28年6月1日(水)〜7月11日(月)は、労働保険(雇用保険・労災保険)の年度更新(労働保険料の申告・納付)です。
保険料の算定にあたっては、賃金の漏れやミスがないよう注意しましょう。

年度更新の手続きの流れ

労働保険の保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間を保険年度として、年度中に支払われた賃金総額に、その事業ごとの保険料率を乗じて計算します。

労働保険の年度更新では、その年度の保険料を概算で納付(概算保険料の申告・納付)して、年度末に賃金総額が確定した後に計算した確定保険料を翌年度の年度更新時に申告・納付することで差額を精算するとともに、新年度の概算保険料を申告・納付します。(図表1)

新年度の概算保険料は、前年度と比較して特に大きな変動がない限り、前年度の賃金総額をそのまま新年度の賃金総額の見込額として計算します。

なお、概算保険料が40万円以上の場合などは、3回に分割して納付(7/10、10/31、1/31。土日祝日等の場合は翌日)することができます。

図表1 労働保険の年度更新のイメージ

(注意)石綿健康被害救済法に基づき、労災保険適用の全事業主を対象に石綿健康被害救済のための「一般拠出金」(一般拠出金率0.002%)の申告・納付が必要です。労働保険料(確定保険料)と併せて行います。

注意点1 計算対象となる賃金総額

労働保険料を算定する基礎になる給与のことを賃金といい、計算対象となる賃金総額(税金・社会保険料等の控除前の支給総額)には、基本給、賞与、各種手当のほか、通勤定期券などが含まれます。ただし、退職金、災害見舞金、出張旅費(実費弁償的なもの)などは含まれません。

労働保険料算定の対象となる賃金

対象になる賃金 基本給(臨時、日雇、アルバイト等の賃金を含む)、残業手当、
家族手当、役職手当、技能手当、通勤手当、通勤定期券、賞与など
対象にならない賃金 休業補償金、退職金、結婚祝金、災害見舞金、死亡弔慰金、
制服、出張旅費など

注意点2 計算対象となる従業員の範囲

労災保険については、全従業員の賃金が保険料の計算対象となりますが、雇用保険については、要件を満たしていない短期アルバイトなどは計算対象から除かれます。

(1)労災保険料の計算対象は全従業員

常用、パート・アルバイト、日雇労働者など名称や雇用形態に関係なく、全従業員が対象です。

(2)雇用保険料の計算対象とならない従業員

次のような従業員等は、雇用保険料の計算対象から除かれます。

  • 1週間の所定労働時間が20時間未満であり、かつ、雇用見込みが31日未満の者
  • 学生アルバイト
  • 65歳以上で新たに雇用される者
  • 4か月以内の期間を定めて雇用される季節労働者
  • 1週間の労働時間が30時間未満の季節雇用者

※TKCのPX2を利用されている場合は、賃金と従業員の範囲の設定を行えば、自動集計されます。

「トレンド」労働基準法改正は平成29年以降に延期の見通し

平成28年第190国会にて成立の見込みと言われていた「有給休暇の規定の改正 」を含む「労働基準法等の一部を改正する法律案」は、その成立が先送りされています(平成28年4月1日時点)。

なお、安倍総理が、長時間労働是正のために、労働基準法36条に基づく労使協定(36協定)や労働時間の上限設定について、来年の通常国会(平成29年1月)以降を目途に必要な法改正を行うと表明しており、労働基準法の改正は、平成29年1月以降になる見通しのようです。

平成28年度の雇用保険料率が引き下げられました

「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が平成28年3月29日に成立し、平成28年4月1日から平成29年3月31日までの雇用保険料率が次のように引き下げられます。

(1)失業等給付の保険料率を労働者負担・事業主負担とも0.1%ずつ引下げ
(2)雇用保険二事業の保険料率(事業主のみ負担)を0.05%ずつ引下げ

この改正によって、「一般の事業」の場合の雇用保険料率は、次のようになります。

(1)労働者負担 (2)事業主負担 雇用保険料率 ((1)+(2))
平成27年度 0.5% 0.85% 1.35%
平成28年度 0.4% 0.7% 1.1%

※詳細は、厚生労働省HP「平成28年度の雇用保険料率」パンフレットで確認することができます。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000119421.pdf

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